欧州フットボールの株式上場に関する考察(3)
2008年07月09日 (サッカーコラム)

欧州五大リーグの上場クラブの状況

(1)イタリア

イタリアのクラブで株式上場しているのは、「Associazione Sportiva ROMA(ASローマ)」、「Societa Sportiva LAZIO(ラツィオ)」、「Juventus Football Club(ユヴェントス)」の計3クラブ。最初に株式上場に踏み切ったクラブは「ラツィオ」で、1998年に当時のクラニョッティ会長がビジネス優先主義を打ち立てて大成功を収めた時代だ。その頃セリエAでは強豪7クラブを「ビッグセブン」と呼んでいたが、当然この7強に「ラツィオ」も数えられ、1999/00シーズンには「スクデット」も獲得している。「ASローマ」も株式上場で資金調達に成功しスクデットを経験したが、その後は財政赤字に陥った。「ACF Fiorentina(フィオレンティーナ)」や「Parma Football Club(パルマ)」が破産したこともあって、暫くの間はイタリアで株式上場するクラブは現れないのではないかと思われる。

(2)スペイン

欧州フットボールの株式上場に関する考察(3)

ソシオからの年会費をベースにクラブ経営することが伝統となっているスペインでは、フットボールクラブはあくまでも「クラブ組織」であり「法人組織」ではなかった。1990年に「スポーツクラブ株式会社法」が施行されるようになると、「銀河系集団」と称される「Real Madrid Club De Futebol(レアル・マドリード)」、2005/06シーズンのチャンピオンズリーグの覇者「Futbol Club BARCELONA(バルセロナ)」、1898年の設立以来未だ「バスク民族主義」に拘る「Athletic Bilbao(アスレティック・ビルバオ)」、「CA Osasuna(オサスーナ)」の4クラブ以外、殆んどのクラブが財政難からの脱却を図るべく資金調達のための株式会社化に踏み切った。しかしながら、一部のクラブを除き、多くのクラブでは法人化した効果はなく、赤字経営が続いているようだ。「レアル・マドリード」と「バルセロナ」の2大ビッククラブの上場話が現在でも噂レベルであるらしいが、スペインでは株式上場にまで踏み切るようなクラブは当分出てきそうにないと思われる。尚、2005/06シーズンの「レアル・マドリード」は、体制を刷新し再建への道を歩き出した。弁護士であるラモン・カルデロン氏が選挙で25代目の会長に選任されると、早速過去「レアル・マドリード」でプレーしていたプレドラグ・ミヤトヴィッチ氏をテクニカルディレクターに、「優勝請負人」の異名を持つファビオ・カペッロ氏を古巣に呼び寄せ監督につかせた。新体制による財務戦略は、ソシオの会費、年間シート、チケットの売上のほかにプレシーズンのツアー収入を引き続き強化し、1億6,000万ユーロ(約240億円)を選手の補強費に充てた。また、ソシオに対して開かれたクラブ組織を目指し、毎シーズン終了時点でクラブに利益が出ていれば、全ソシオに配当金を出すことをラモン・カルデロン氏は公約している。

(3)ドイツ

ドイツの「ブンデスリーガ」で過去に株式上場を果たしたクラブは、「BV 09 Borussia Dortmund(ボルシア・ドルトムント)」だけである。「ドルトムント」はブンデスリーガで最も観客動員数が多く、本拠地「ヴェストファーレンシュダディオン・スタジアム」は8万人以上のキャパシティーがあり、車椅子専用席や最新の音響システムなどが設備されたドイツNo.1のフットボール専用スタジアムと言われている。1996/97シーズンにはザマー氏を擁してヨーロッパチャンピオンにも輝いたことがあるが、2004/05シーズンには債務超過に陥り、殆んど破産寸前の状態にまで追い込まれた経緯がある。その後、経営陣を一掃し、弁護士出身のニーバウム氏を会長に迎えて経営の建て直しを図っているようだが、現在も経営難に直面しているというのが実情だ。
(第4回に続く)


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