欧州蹴球観戦記「デンマーク・スーパーリーグ」編
2008年04月14日 (サッカー観戦記)

寄稿者 / マスターピース・グループ Ruba Cuore

デンマーク王国のコペンハーゲン(ケベンハウン)に来た。
4月を過ぎていても、未だ肌寒い。SASの本拠地カストルップ空港から週に何度も釣りに出掛けていると自慢するオジサンの運転するタクシーに乗る。RadissonSAS Hotelにチェックイン。北欧デザインがウリということでここに宿泊することにしたが、部屋に入ってその期待は裏切られる。街に出る。ストロイエと呼ばれる歩行者専用道路を抜けて「ニューハウン」まで歩く。ここはアムステルダムと同様に運河(海)が入りこんでいて、沿道にはカラフルな木造家屋で出来たレストランやカフェが立ち並んでいる北欧チックな景観だ。日本にはない景色を見て、改めて遠くまで来たことを実感する。

デンマークというと、生活水準が非常に高いとか、社会保障制度が充実している、とかが日本の中で報道されている程度だと思う。が、サッカーにおいても実に6つのクラブが上場している企業ということを昨年知った。デンマークのスーパーリーグの中でも、今回実際に試合を観戦する「FC Copenhagen」や87年の設立以来10回のリーグ優勝の実績がある「BrondbyIF」を筆頭に、「Aarhus Elite a/s」(ここは債務超過)、「SIF FODBOLD SUPPORT-CLB」、「Schaumann Properties AS」、「Aaborg Boldspilklub a/s」の6つのクラブがちゃんとブルームバーグでも確認出来る上場企業なのだ。デンマークのプレイヤーというと、ACミランにも在籍していたミカエルとブライアンのラウドルップ兄弟を思い浮かべる。最近だとジュビロ磐田に戻った川口選手。たしか、03年からデンマークの「FCノアシュラン」というクラブに所属していたはずだ。

コンシェルジェに聞いて「東京」(Tel;33-310165,Hojbro Plads19)と言う和食料理店に向かう。
一組の家族を除けば、日本人のお客は全く居なかった。オーナーの中澤氏と少しだけ話をすることが出来た。川口選手のことを聞いた。「何度か来たけど、可愛くない奴だね」。バッサリだった。反対に中澤氏は中島選手のことを誉めていた。中島選手とは中島ファラン一生(Issey Morgan Nakajima Farran)といって、カナダと日本人のハーフ。幼少のころはロンドンにいたらしいが、03年に「アルビレックス新潟」に入団し、翌年から「アルビレックス新潟シンガポール」にレンタル移籍し、Sリーグのスター選手なのだ。しかし、デンマークにいるとは……。知らなかった。ホテルに帰って、早速調べてみた。現在彼は、「ヴェレイBK(Vejle Boldklub)」というクラブに所属している。06-07シーズンは、な、なんと2ケタの得点を挙げている。凄い!!彼は現在カナダの代表選手としても活躍していることから、カナのダ国籍を選んだようだ。以前TBSの「情熱大陸」でスペインで活躍する福田選手が放送されていたが、彼も是非「情熱大陸」で取り上げて欲しい。

「Parken Stadium」に到着。
未だ建設が完成していないが、格好いいスタジアムだ。キックオフまで時間があったので、グッズ売り場を覘く。上場企業らしく、充実した品揃えだ。スタジアムもサンシーロを小型にしたような格好いいデザインだ。スタジアムの回りにあるスタンドでビールを飲むサポーターが多い。欧州では当たり前の景色だが、何となく他のイギリスやイタリアに比べるとおとなしい。スタジアムの収容人数が45,000人と聞いていたが、恐らく30,000人くらいの観客がいるはずだ。子供も女性も多く、非常に雰囲気がいい。おまけに皆自由にタバコも吸っている。FCコペンハーゲンの選手紹介が終わった瞬間、スタジアムの観客から一斉に白い紙ふぶきが飛ばされた。まるでチャンピオンズリーグの優勝チームが観客に向かって優勝トロフィーを突き上げるシーンのようだ。

試合前のスタンドの風景
試合前のスタンドの風景。
チャンピオンズリーグ決勝戦のトロフィー授与を髣髴とさせる華やかな雰囲気。

18:00ジャストに試合が開始した。
ホームのFCコペンハーゲンは何となく気負いがあるせいか、試合運びが雑な気がする。一方、ミッディランドは、パスもよく回って組織力を感じる。選手の名前と顔が全くわからないが、ミッディランドは27番の黒人のMFを中心に攻撃の形がある。こういう場合は得てしてホームのチームが敗北する場合が多い。案の定、17分過ぎにクロスのボールをFW二人がスルーして中盤の選手が先取点を決めた。ゴール裏のFCコペンハーゲンの立ちっぱなしのサポーター席が静まり返った。FCコペンハーゲンは、ボールを落ち着かせて試合を組み立てる選手がいない。クロスの精度もそれほど高くはないため、どうしてもゴーム前に放り込むサッカーになってしまう。それにしても、ゴール前の大男たちの肉弾戦は迫力がある。これでは川口選手のようなGKは、このデンマークでは活躍できる状況にないはずだ。前半は、0-1で終了。

後半開始。
相変わらずFCコペンハーゲンの攻めは単調だ。これなら中盤の日本人選手などは十分活躍できる気がした。小笠原選手などはセリエAなどには行かないで、こういうリーグで思いっきり活躍して欧州における価値を高める戦略をとるべきではなかっただろうか。イタリアの特に地方チームは、アジアの選手をちゃんと公平に判断している気がしない。もし、このデンマークリーグの何処かのクラブに移籍していたら、今頃はドイツ等のリーグで中心選手になっているのではないかと思いが膨らむ。公平に実力を評価してくれるところにいけば、そういう道は必ず開けるものだ。

65分過ぎから選手交代の影響もあってFCコペンハーゲンが攻め込む場面が多くなった。建設が完成していないゴール裏から西日が差し込んでまぶしい。FCコペンハーゲンの猛攻が続く。が、如何せん攻撃が単調。2回ほど来た決定機も結局決めきれない。審判も何となくFCコペンハーゲンよりのジャッジをし始めている感じがする。が、ミッディランドの組織力が上回っていて結局得点には結びつかない。それにしても、ミッディランドの27番の黒人はいい選手だ。日本に連れて帰りたい。

86分過ぎにミッディランドの10番の選手が駄目押しの2得点目を決めた。
FCコペンハーゲンのディフェンス陣は統率する人間がいないので、抜かれた後のフォローがない。ロスタイムは3分ほどあったが、しっかりとミッディランドが守りきり、アウェイの試合をものにした。FCコペンハーゲンにとっては、完敗といっていい試合だった。

ペナルティエリア周辺の大男たちの競り合いは迫力満点
ペナルティエリア周辺の大男たちの競り合いは迫力満点。

デンマークのサッカーは、予想通り皆身体が大きいのであたりが確かに厳しかった。また、変な癖みたいなものがなく、セオリー通りの素直なサッカーという感じがした。サポーターは親子で来ていたり女性だけのグループがいたりして、マナーも非常によくて好感が持てた。その証拠に試合終了後、大敗に怒り狂ったサポーターなどはスタジアムの周りには全く居なかった。欧州サッカーというとプリミアリーグやセリエAがすぐ思い浮かぶが、デンマークのサッカーだって十分楽しめるはずだ。今度は、中島ファラン一生選手が出場する試合を見に行きたい。


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カテゴリー:サッカー観戦記

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