東アジア選手権:韓国対日本観戦記これでは世界は驚かない
2008年02月27日 (サッカー観戦記)

寄稿者 / マスターピース・グループ Ruba Cuore

当社の子会社がある成都から重慶に車で向かった。
中国の各都市はかなり今まで旅してきたが、重慶は今回が初めてだ。北朝鮮戦や中国戦の報道を見る限り、かなり反日感情が高いところと紹介されている。昔、蒋介石の臨時政府都市が置かれたことなど歴史的な背景がそうさせているのだろうか。が、とにかく、私は、このアウェー戦がもたらす緊張感がたまらなく好きだ。

中国に5つしかない何処の省にも属さない直轄都市という以外、重慶のことを知らなかった。天気は、ドンヨリしていて成都と余り変わらなかった。天気さえよければ、夜景は相当期待出来そうだ。でも、街はお世辞にも綺麗とは言いがたい。人口は、約3000万人。東京の3倍だ。長江大橋から見る景色は、晴れていなくてもその凄さが十分伝わった。長江と嘉陵江(カリョウコウ)の合流地点に位置していて、昔から水上交易の街として栄えてきたらしい。中州のような地形の中に高速道路と高層ビルが建ちならんでいて、昔の香港のような感じがした。

「重慶オリンピックセンター」に到着。
韓国戦のあとに「中国対北朝鮮」線が組まれているせいか、観客も警備もそんなに多くない。僕たちの席は、前から二列目。現地の友人にチケットをとってもらったので、日本のサポーターは全く居ない。日本のサポーターは、ゴール裏に申し訳なさそうに居た程度だった。恐らく30人くらいだろう。一方、韓国のサポーータは、100名近くキチンと固まっていて、例の「デーハミンンゴク、チャッチャッチャ・チャッチャ」を試合前からやっている。レッズのサポーターを連れてきたい気分だ。韓国選手のユニフォーム姿がとにかく格好いい。各選手サイズがフィットしていて、強靭でシャープな身体が容易に想像できる。それに引き換え、日本選手のユニフォームはまったくサイズ感がない。韓国はベストメンバーではないと聞いていたが、FWの9番のチョ・ジンスと11番のヨム・ギフンは、見るからに強そうだ。リバプールのサポーターのようにタオルマフラーを両手で掲げながら、君が代を歌った。ブーイングはなかったが、まわりの中国人の冷たい目が背中に刺ささった。こいつらを試合で黙らせたい、と念じていたら、いつのまにか試合が始まっていた。

選手入場
ついに選手入場。
ただでさえ興奮する瞬間だが、日韓戦となればなおさらだ。

日本の布陣を見て岡田監督が何を試そうとしているのか、想像した。4バックで田代選手の1トップ。Jリーグでのポジションが重なっていたり、普段と違うポジションが気になる。山瀬選手と中澤選手以外日本の選手は全然試合に乗れていない感じがした。こういう場合は、大体いい結果がまっていない。19歳の鹿島のDF内田選手が積極的に上がり始めたが、どうしても攻撃の形にはなっていない。14分過ぎに、オ・ジャンウン選手の左からのクロスを11番のヨム・ギフンが豪快にボレーを打ってゴール。やっぱり、韓国の両FWは、ヤバイ。その後、日本は何とかボール支配率を高めようと試みているようだが、韓国は当然カウンターで反撃する。中村憲剛選手のミドルが炸裂したが、惜しくもバーに当たって得点にならなかった。日本は韓国の守備陣を崩す攻撃の形が全く作れていない。元々のポジションが下がり気味の選手が多いことも気になる。

43分、内田選手がゴールエリア内で一人抜いて壁パスを受けてシュートするも、韓国キーパーのキム・ヨンデ選手にセーブされている。前半が終了。0-1のビハインドで終わった。この選手権を優勝するには、日本は2点以上取らないといけなくなった。僕は、優勝云々よりも後半岡田監督が何をするかにしか興味がもてない。今の日本では中々韓国に勝てないことは明白だからだ。

後半開始。日本にメンバー交代はなかった。
すぐさま、韓国のコーナーキック。韓国の猛攻が続く。皆に指示をしているのか、鼓舞しているのかわからないが、髪形を変えて精悍さを増した鈴木選手が大声で叫んでいる。たくましくなった。しかし、中澤選手のディェンス力は凄い。韓国選手の強靭な肉体をものともしない。間違いなくアジアNo.1だ。しかし、彼が怪我をしたら日本代表はどうなってしまうんだろう。

10分過ぎに日本がコーナーキックをとるも、田代選手のヘディングは空振り。結構ドフリーだったので、高原選手が出ていたら決めいたかもしれない。今度は韓国のフリーキックだが、川口選手のナイスセーブは阻まれる。遠藤選手と内田選手の息があってきた感じがする。

17分に中村憲剛選手と安田選手が交代。
安田選手を起用することは全く持って異論はないが、中村選手の深い位置から起点となった展開が幾度となくあったので、岡田監督の意図がわからない。橋本選手を下げるべきではないか。FWチョ・ジンスが中澤と激突してタンカーで運ばれる。彼ならまた復活してすぐピッチに戻るはずだ。が、暫くして7番をつけたイ・グンボ選手というFWと交代となってしまった。昔から韓国の選手は骨折しても走るようなイメージがあったので、意外だった。遠藤のコーナーキックの後、内田選手のパスを受けた山瀬選手が豪快にミドルを決めた。目が覚めるような弾道にしびれる。

ようやく、追いついた。山瀬は昨年の横浜ダービーのときからとにかく凄くキレている。かつてアルゼンチンにいたオルテガ選手のような存在になって欲しい。日本が攻める場面が多くなってきた。日本が絶好の位置でフリーキックをとった。ここから遠藤選手のコロコロ攻撃は無理だが、何かやって欲しい。中々蹴らない遠藤選手にものすごいブーイングが起きる。日本の30名程度のサポーターもようやくエンジンがかかった様子で、応援歌がスタジアム内に聞こえ始めた。遠藤選手のキックは残念ながら韓国の強靭な壁にあたった。

橋本選手と矢野選手が交代。
やはり、今ごろになって橋本選手を下げたことに納得いかない。ここまで橋本選手は期待出来るクロスを一本もあげていない。反して、安田選手は動きはいい。一昨日にYahooで見た中国人サポーターが日の丸に火をつけて燃やしている写真が頭の中をよぎった。安田選手が駆け上がりクロスをドンドン入れてくる。何故、前半からこれが出来なかったのか。われわれビジネスの世界ですら年功序列的な考えなんてとっくに崩壊しているはずだ。矢野選手の身体のどこかにあたるだけで一点入るような場面もあったが、結局得点には結びつかない。矢野選手は身体の入れ方からして上手くない。身長も全く活かされていないのだ。

41分に幡戸選手が交代で入る。ガンバの選手が目立つ。
山瀬選手との交代だった。何故なのか。FW陣を厚くして攻めあがる考えに異論はないが、山瀬選手なのだろうか。ヨム・ギフンと今野選手のマッチアップが面白い。しかし、ヨム・ギフンは良く走る。今野も決して負けていない。ヨム・ギフン選手は「蔚山現代ホンライ」に所属しているようだが、すぐJリーグで見て観たい選手だ。ロスタイムが2分と表示された。が、結局何も起こらなかった。

昔から、「技術の日本、気合の韓国」といわれてきたが、「技術も韓国」ではないだろうか。「早く走る」、「身体ごとぶつかっていく」という基本的な技術を抜きにしてサッカーは語れないし、世界は全く驚かないのだ。岡田監督が試したかったことの詳細はわからないが、「接近」「展開」「連続」を感じられる場面は本当に数少なかった。次の試合は、W杯3次予選のバーレン戦。あと一ヶ月もない。2010年の南アフリカまでの距離を計算して指揮して欲しい。


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カテゴリー:サッカー観戦記

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